教員(小学校、中学校、高校など)から異業種への転職は、多くの教員にとって難しいと感じられることが多いです。しかし、その理由を理解し、適切な対策を講じることで転職の成功率を高めることが可能です。本記事では、教員からの転職が難しい理由と、それを乗り越えるための方法について詳しく解説します。また、筆者の高校教員から未経験のコンサルティング業界に転職した実際の体験も紹介します。
目次
教員からの転職が難しい理由
- 平均と比較したときの年収の高さ
教員の年収は一般企業の平均よりも高いことが多く、特に30代から50代にかけてその差が顕著です。教員は年功序列が基本であり、年齢とともに年収が上がっていくため、転職が遅くなればなるほど、転職によって年収が下がる可能性が上がります。これが、教員からの転職が難しいと感じられる大きな理由の一つです。一方で30歳前に転職に成功すると、年収が上がることも多いです。 - 転職活動の時間が取れない
教員は激務であり、日常業務に追われる中で転職活動に時間を割くことが難しいです。特に部活動や担任業務を持っている教員は、業務時間外でも仕事を続けなければならないため、転職活動に専念する時間を確保するのが困難です。転職活動をする際のリクルーターとの面談や転職のための面接試験などは勤務時間後に設定されることも多いため、その時間を確保できない場合は、転職が非常に難しくなります。 - ビジネス経験不足
教員の職務は教育に特化しており、ビジネスの現場で求められるスキル(営業力や顧客対応力など)が不足していると見なされることが多いです。また、公務員という立場から、「融通が利かない」「受け身」といったネガティブなイメージを持たれやすいことも転職の難しさに繋がります。スキル不足は転職の難しさに直結しており、転職後しばらくは年収が下がることを許容できるかどうかの判断も重要です。
教員のスキルを活かせる転職先
- 学習塾や予備校の講師
教育業界内での転職は、これまでの経験を無駄にすることなくキャリアを積むことができます。塾や予備校の講師は、生徒に教えるという点で教員のスキルが直接活かせます。その一方で、教員からの大きなキャリアチェンジとはならず、部活や課外活動、生徒指導がなくなるだけで、生徒に勉強を教えるという職務内容はそれほど変わらないことが多いです。部活や課外活動ではなく、教えることに専念したい場合は学習塾や予備校が候補となるでしょう。 - 人事・研修担当
教員のコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力は、人事部門や研修担当として活かすことができます。特に、人材育成に関心がある教員にとっては、自分のスキルを活かしながら新しいキャリアに挑戦する良い機会となります。転職後の業務に関するハードスキルがないため、ソフトスキルや将来の成長性をアピールしていく必要があります。 - 営業職
営業職は未経験者歓迎の求人が多く、新規顧客の開拓から製品・サービスの提案、交渉などに必要なコミュニケーション能力が重視されるため、教員の経験が活かせます。また、目標達成に向けた計画立案能力や忍耐力も営業職で評価されるポイントとなります。
転職成功のためのポイント
- ソフトスキルを強調する
教員として培ったスキルの中には、異業種でも評価されるものがあります。計画立案能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力、問題解決能力などの「ソフトスキル」を自己分析で整理し、転職活動でアピールすることが重要です。 - ITスキルを高める
多くの学校ではIT環境が遅れているため、基本的なITスキル(タイピング、ビデオ会議ツールの使用、エクセルなどの表計算ソフトの操作、クラウドサービスの活用)を習得することが必要です。これらのスキルを持つことで、転職先の選択肢が広がります。 - 転職エージェントを活用する
教員からの転職を専門とする転職エージェントを活用することで、自分に合った求人情報を得やすくなります。また、エージェントは履歴書の書き方や面接対策などのサポートも行ってくれるため、転職活動を効率的に進めることができます。 - ネットワーキングを活用する
教員同士のネットワークやSNSを活用して、転職経験者のアドバイスを得ることも有効です。実際に転職を経験した教員からの情報は、非常に貴重な参考資料となります。 - 成長性やポテンシャルをアピールする
教員からの転職では、アピールできるハードスキルがあまりありません。そのためスキル不足で転職が難しい場面がありますが、30歳以下の転職の場合はポテンシャル採用を狙って自分の成長性をアピールすることもできます。その際にはソフトスキルのアピールに加えて、これまでの実績や経験から成長したエピソードを伝えると良いでしょう。
科目別の転職の有利さについて(中学、高校)
筆者は実際に転職し、教員とは全く別の職業に就いていますが、教員の中でも転職をしやすい科目があるのではないかと感じています。それが英語、国語、数学の3科目です。小学校の教師は専科ではないため、以下の要素を強みにするのは難しい場合もあるかもしれませんが、中高の教員は強みにできるかもしれません。
英語の強み
英語は汎用性が非常に高く、国際的な人材として転職の際に売り出していけるスキルです。ただし、読み書きだけでなく、リスニングやスピーキングのスキルが身についている場合に限ります。また、英語を使って何ができるかが重要であるため、過去の経験で身につけたソフトスキル(コミュニケーションスキル、リーダーシップ、課題解決能力など)と掛け合わせてアピールする必要があります。
国語の強み
国語は近年、記事執筆や動画の台本制作などの仕事も増えているため、メディア関係の仕事で執筆業務などに生かしていける可能性があります。その際にはクリエイティビティも求められるため、自分で記事や本を執筆した経験などがあるとより望ましいです。また、文章の校正などもできるのではないでしょうか。
数学の強み
数学は論理的思考力や統計に関するスキルを活かして、データサイエンティストや分析を生かした職業に就くことができます。これらのスキルは研究職のみならず、課題解決能力として、どんな職業にも応用できる可能性があるため、幅広く転職先を検討することができるのではないでしょうか。
いずれの科目においても、自身が持つハードスキルとソフトスキルを掛け合わせ、自分の成長性や強みをアピールすることができれば、転職に成功する可能性も高まります。
実際の体験談:高校教員から未経験のコンサルティング業界へ転職
ここでは、筆者の高校教員から未経験のコンサルティング業界に転職した体験を紹介します。
詳細はこちらの記事(高校教員から未経験のコンサルティング業界に転職)をご参照ください。
また、教員から未経験のコンサルティング業界に転職したメリットについてはこちら(教員からコンサルタントへ – 転職で変わった日常)をご覧ください。
転職の決意と準備
筆者は、3年ほど高校教員として働いてきましたが、教育現場の課題や自分のキャリアに対する不安から転職を決意しました。特に、将来的なキャリアパスの限界を感じ、自分のスキルをもっと広く活かせる仕事を探すことを決めました。
ソフトスキルの活用
転職活動の中で、筆者は教員として培った計画立案能力、コミュニケーション能力、問題解決能力などをソフトスキルとして強調しました。これらのスキルはコンサルティング業界や営業職でも高く評価され、未経験であるにもかかわらず、転職に成功しました。また、筆者は20代に転職しましたが、自分の将来性の高さや成長性なども同時にアピールできたことが転職成功の要因だったと思います。
転職活動の苦労と成功
転職活動中は、教員としての激務と並行して転職準備を進めるのが非常に大変でした。しかし、転職エージェントのサポートやネットワーキングを活用して得た情報を基に、計画的に準備を進めることで、最終的には希望する職種への転職を果たしました。
終わりに
教員からの転職は確かに難しい側面がありますが、適切な準備と対策を行うことで、そのハードルを乗り越えることが可能です。自分のスキルを正しく評価し、新しいキャリアに向けての一歩を踏み出しましょう。教員の皆さんが充実した転職活動を行い、次のステージで成功を収めることを心から応援しています。
筆者の体験を参考にして、教員からの転職が少しでもスムーズに進むことを願っています。